国民年金
1.目的
国民年金は、すべての国民を対象として、老齢・障害・死亡に関して必要な給付を行い、健全な国民生活の維持・向上に寄与することを目的としています。
2.国民年金の加入者
ア)必ず加入しなければならない人(強制加入)
→20歳以上60歳未満で日本国内に住所がある人(被用者年金制度の老齢(退職)年金を受けられる方を除きます)
- 第1号被保険者自営業・自由業やその配偶者、学生、日本在住の外国人
- 第2号被保険者厚生年金保険・共済組合に加入している人
- 第3号被保険者第2号被保険者に扶養されている配偶者
イ)希望すれば加入できる人(任意加入)
- 60歳以上65歳未満の人
- 外国に居住する20歳以上65歳未満の日本人
- 年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人(受給資格期間を満たすまで)
3.届け出
強制加入の被保険者はもちろんのこと任意加入の被保険者も資格の取得及び喪失、種別の変更、氏名及び住所の変更に関する事項についての届け出が義務付けられています。先の事実が発生したときから原則として14日以内に届け出なければならないことになっています。
こんなときは必ず届出を!
20歳になったとき(厚生年金・共済組合の加入者は除く)
- 第1号被保険者になる人は、20歳到達日に日本年金機構において加入手続きが行われるため届出不要
- 第3号被保険者になる人は、配偶者の勤め先へ
会社に勤めたとき
勤め先に年金手帳又は基礎年金番号通知書を提出します。
会社をやめたとき(扶養の配偶者ありのときは一緒に届出を)
役場へ(年金手帳又は基礎年金番号通知書・退職日のわかる書類)
配偶者(第2号被保険者)の扶養になったとき(結婚・減収など)
配偶者の勤め先へ年金手帳又は基礎年金番号通知書を提出します。(健康保険の被扶養者の届出と一緒にできます。)
配偶者(第2号被保険者)の扶養から外れたとき(離婚・増収など)
役場へ(年金手帳又は基礎年金番号通知書・扶養から外れた日のわかる書類)
配偶者(第2号被保険者)が転職したとき
配偶者の勤め先へ年金手帳又は基礎年金番号通知書を提出します。(健康保険の被扶養者の届出と一緒にできます。)
住所や氏名が変わったとき
マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者であれば原則届出は不要です。
ただし、次の場合は住所変更届が必要です。
(1)被保険者のうち、健康保険のみに加入している方、海外居住者、短期在留外国人の住所の変更の場合
(2)住民票住所以外の居所を登録する場合
届出を忘れると、年金を受けとるときに資格がなくて受けられないことも…人生の節目には年金の手続をお忘れなく。
4.保険料
第1号被保険者
- 令和6年度の保険料は定額(月額16,980円)です。また、付加保険料(月額400円)を納めることで将来より多くの年金を受けることが出来ます。
- 毎月の保険料は、翌月末日までに納めなければなりませんが、納付期限内に納められなかった場合でも、納付期限から2年以内であればさかのぼって納めることが可能です。しかし、一旦納付期限を過ぎると「保険料未納」の扱いとなり、もし不慮の事故にあっても障害年金や死亡一時金等が受けられない場合がありますのでご注意ください。
- 保険料は毎月納めることになっていますが、希望すれば同一年度内の保険料をまとめて前払いすることが出来ます。この前納制度を利用すると、納め忘れがなくなるだけでなく、保険料も割引されます。
- 国民年金の長い加入期間中には、病気やけが、失業などの経済的な理由で、保険料を納めることがどうしても困難な時期があるかもしれません。そんな時、免除制度があなたの年金を守ります。免除制度には、法定免除と申請免除等(全額・3/4・半額・1/4・若年者納付猶予)があり、学生の方には、学生の間の保険料納付が猶予される学生納付特例制度があります。申請はいずれも役場の国民年金担当窓口で行えます。「困った・・・」ときは、未納のままにせずに、役場で申請してください。
項目 | 内容 |
---|---|
年金を受ける為の資格期間には? | 受給資格期間に入りません |
受け取る老齢基礎年金額には? | 年金額に反映されません |
後から保険料を納めることは? | 2年を過ぎると納められません |
項目 | 全額免除 | 3/4免除 | 半額免除 | 1/4免除 | 若年・学生 |
---|---|---|---|---|---|
年金を受ける為の資格期間には? | 受給期間に入ります | 受給期間に入ります | 受給期間に入ります | 受給期間に入ります | 受給期間に入ります |
受け取る老齢基礎年金額には? | 免除期間は4/8で計算されます | 免除期間は5/8で計算されます | 免除期間は6/8で計算されます | 免除期間は7/8で計算されます | 年金額に反映されません |
後から保険料を納めることは? | 10年前の分までさかのぼって納めることができます | 10年前の分までさかのぼって納めることができます | 10年前の分までさかのぼって納めることができます | 10年前の分までさかのぼって納めることができます | 10年前の分までさかのぼって納めることができます |
※一部免除(3/4・半額・1/4)が承認された方は、残りの一部保険料を納めないと「未納」と同じ扱いとなります。
第2号被保険者
- 厚生年金保険料または共済組合費のなかに基礎年金分として含まれています。
第3号被保険者
- 保険料は、配偶者が加入している年金制度から拠出されますので、自ら納める必要はありません。
5.国民年金の給付の種類
国民年金では、全国民に共通する給付として、(1)老齢基礎年金、(2)障害基礎年金、(3)遺族基礎年金を支給します。また、第1号被保険者の独自給付として、(4)付加年金、(5)寡婦年金、(6)死亡一時金を支給します。
老齢基礎年金
給付の条件
10年以上保険料を納めた人(免除を受けた期間、合算対象期間を含む)に65歳から支給。希望すれば60歳から64歳の間でも受けられますが、年齢に応じて減額されます。また、66歳から75歳の間に遅らせると増額した年金を受給できます。
年金額
満額 816,000円(昭和31年4月1日以前生まれの方:813,700円)
満額×{保険料納付月数+(全額免除月数×4/8)+(3/4免除月数×5/8)+(半額免除月数×6/8)+(1/4免除月数×7/8)}/40年(加入可能年数)×12月
平成21年3月分までの免除期間については(全額免除月数×1/3)、(3/4免除月数×1/2)、(半額免除月数×2/3)、(1/4免除月数×5/6)として計算します。
障害基礎年金
給付の条件
国民年金の被保険者期間中に初診日がある病気やけがで障害になった場合に支給。ただし初診日の属する月の前々月までに納付期間と免除期間が加入期間の2/3以上あること。または初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納期間がないこと。20歳前の障害によって障害者になった場合は20歳より支給。
年金額
1級 1,020,000円(昭和31年4月1日以前生まれの方:1,017,125円)
2級 816,000円(昭和31年4月1日以前生まれの方: 813,700円)
+
子の加算(受給権者によって生計を維持されている18歳までの子、または20歳未満で障害等級1級又は2級の子)
1人目・2人目の子1人につき
234,800円
3人目以降の子1人につき
78,300円
遺族基礎年金
給付の条件
次の1から4のいずれかの要件を満たしている方が死亡したとき、受給対象者となる遺族に支給。
1.国民年金の被保険者である間に死亡したとき
2.国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
3.老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
4.老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
※1及び2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(免除期間含む)が加入期間の2/3以上あること。
※3及び4の要件については、保険料納付済期間(免除期間含む)及び合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る。
受給対象者
死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族が受け取れます。
なお、遺族厚生年金を受給できる遺族の方は併せて受給できます。
1.子のある配偶者
2.子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害等級2級以上の状態にある方)
※子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父又は母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。
年金額
(昭和31年4月2日以後生まれ) | 816,000円+子の加算額 |
(昭和31年4月1日以前生まれ) | 813,700円+子の加算額 |
子が受け取るとき
次の金額を子の数で割った額が、1人あたりの額となります。
816,000円+2人目以降の子の加算額
1人目及び2人目の子の加算額 各234,800円
3人目以降の子の加算額 各78,300円
付加年金
給付の条件
第1号被保険者期間中に定額保険料のほかに付加保険料を納めた人に老齢基礎年金と併せて支給
年金額
200円×付加保険料納付月数
寡婦年金
給付の条件
第1号被保険者としての保険料納付期間(免除期間を含む)が10年以上あり、老齢・障害基礎年金を受給していない夫が亡くなった時、婚姻関係が10年以上あり、死亡当時その夫に生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳までの間支給。
年金額
夫が受けられる老齢基礎年金額の4分の3
死亡一時金
給付の条件
第1号被保険者として保険料を36月以上納めた人が、老齢・障害基礎年金を受給しないで亡くなったとき、その方と生計を同じくしていた遺族(1.配偶者、2.子、3.父母、4.孫、5.祖父母、6.兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)に支給
年金額
納付月数により120,000円〜320,000円支給。付加保険料を3年以上納めている場合は、8,500円が加算
※年金額は、令和6年4月現在のもので、年額です。
6.老齢基礎年金の裁定請求
老齢基礎年金は、10年以上保険料を納めた人が65歳になったときに支給されますが、60歳から繰り上げて請求することが出来ます(繰上げ請求)。また、66歳以降に繰下げての請求も可能です(繰下げ請求)。その時の減額・増額率は以下のとおりです。
繰上げ請求
ア)昭和37年4月2日以後生まれの人
月単位で減額され、支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数に応じて、0.4%きざみで減額率が決まります。
請求時年齢 | 60歳0ヵ月 | 61歳0ヵ月 | 62歳0ヵ月 | 63歳0ヵ月 | 64歳0ヵ月 |
減額率 | 24.0% | 19.2% | 14.4% | 9.6% | 4.8% |
イ)昭和37年4月1日以前生まれの人
月単位で減額され、支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数に応じて、0.5%きざみで減額率が決まります。
請求時年齢 | 60歳0ヵ月 | 61歳0ヵ月 | 62歳0ヵ月 | 63歳0ヵ月 | 64歳0ヵ月 |
---|---|---|---|---|---|
減額率 | 30.0% | 24.0% | 18.0% | 12.0% | 6.0% |
繰下げ請求
月単位で増額され、65歳に達した日の属する月から支給の繰下げの申出を行った日の属する月の前月までの月数に応じて、0.7%きざみで増額率が決まります。
請求時年齢 | 66歳0ヵ月 | 67歳0ヵ月 | 68歳0ヵ月 | 69歳0ヵ月 | 70歳0ヵ月 |
増額率 | 8.4% | 16.8% | 25.2% | 33.6% | 42.0% |
請求時年齢 | 71歳0ヵ月 | 72歳0ヵ月 | 73歳0ヵ月 | 74歳0ヵ月 | 75歳0ヵ月 |
増額率 | 50.4% | 58.8% | 67.2% | 75.6% | 84.0% |
昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳までとなりますので、増減率は最大で42%となります。
請求先
老齢基礎年金の請求先は、加入した年金制度で異なり、国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)のみの期間の人は役場で、国民年金の第3号被保険者・厚生年金期間がある人は年金事務所で請求することになります。
必要書類等
請求者によって必要書類が変わってきますので、年金事務所にご確認ください。
その他(関係機関等)
熊本東年金事務所 電話 096-367-8144(資格・免除等) 096-367-2503(給付関係)
日本年金機構ホームページ https://www.nenkin.go.jp/index.html
追加情報
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