○嘉島町認知症総合支援事業実施要綱

平成30年2月22日

要綱第1号

(趣旨)

第1条 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の45第2項第6号に規定する事業(以下「認知症総合支援事業」という。)を実施するため、必要な事項を定めるものとする。

(実施主体)

第2条 事業の実施主体は、嘉島町とする。ただし、当該事業の全部又は一部について、町長が適当と認める者に委託することができる。

(事業)

第3条 町長は、認知症総合支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。

(1) 認知症初期集中支援推進事業

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

(認知症初期集中支援推進事業)

第4条 町長は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする認知症初期集中支援推進事業を行うものとする。

(支援チームの配置と役割)

第5条 支援チームは、嘉島町地域包括支援センター、病院、診療所等に配置することとし、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導のもと、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人や認知症の人(以下「訪問支援対象者」という。)及びその家族を訪問し、観察・評価、家族支援等初期の支援を包括的かつ集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。

2 支援チームは、嘉島町地域包括支援センター職員、本町関係職員、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保するものとする。

(支援チーム員の構成)

第6条 支援チームは、専門職(以下「チーム員」という。)2名以上及び専門医1名をもって構成する。

2 チーム員は、次のいずれの要件も満たす者とする。

(1) 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士、介護支援専門員又はこれに準ずる者であり、かつ、認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有すると町長が認めた者

(2) 認知症ケア又は在宅ケアの実務、相談業務等に3年以上携わった経験を有する者

3 チーム員は、国が別に定める「認知症初期集中支援チーム員研修」(以下「チーム員研修」という。)を受講し、必要な知識及び技能を修得するものとする。ただし、町長がやむを得ないと認める場合は、チーム員研修を受講したチーム員が当該受講内容をチーム内で共有することで、チーム員研修を受講していないチーム員が事業へ参加することを認めるものとする。

4 専門医は、日本老年精神学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医である医師とする。

5 前項の規定にかかわらず、専門医の確保が困難な場合には、当分の間、次に掲げる医師を専門医とみなすことができる。

(1) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のある者

(2) 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有する者(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る。)

(チーム員の役割)

第7条 チーム員は、目的を果たすために、訪問支援対象者の認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うための訪問活動等を行う。

2 訪問する場合のチーム員数は、初回の観察・評価の訪問時は、原則として、医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上とする。

3 観察・評価票の記入は、原則として、チーム員である保健師又は看護師が行うものとする。

(訪問支援対象者)

第8条 訪問支援対象者は、原則として、40歳以上で、在宅で生活しており、かつ、認知症が疑われる人又は認知症の人で、次の各号のいずれかに該当する者とする。

(1) 医療サービス、介護サービスを受けていない者又はそれらを中断している者で、次のいずれかに該当する者

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスに結び付いていない者

 介護サービスが中断している者

(2) 医療サービス、介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著である者

(支援チームの業務)

第9条 支援チームは、次に掲げる業務を実施する。

(1) 支援チームに関する普及啓発

地域住民並びに関係機関及び団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う等、地域の実情に応じた取り組みを行う。

(2) 認知症初期集中支援の実施

 訪問支援対象者の把握

支援チームが必ず地域包括支援センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮することとし、チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センターと情報共有を図る。

 情報収集及び観察・評価

本人のほか家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集するとともに、信頼性及び妥当性の検証がされた観察・評価票を用いて、認知症の包括的観察・評価を行う。

 初回訪問時の支援

初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診及び介護サービスの利用の効果に関する説明並びに訪問支援対象者及びその家族の心理的サポート、助言等を行う。訪問時間は、概ね2時間以内とする。

 専門医を含めたチーム員会議の開催

初回訪問後、訪問支援対象者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方法、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医を含めたチーム員会議を行う。必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、地域包括支援センター職員、本町関係職員等の参加を依頼する。

 初期集中支援の実施

医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行う。支援期間は、訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、概ね最長で6ヶ月とする。

 引き継ぎ後のモニタリング

初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引き継ぎを行う。

また、チーム員会議において、引き継ぎの2ヶ月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行う。

なお、訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は、初期集中支援の終了後5年間保管しておかなければならない。

(検討委員会の設置)

第10条 町長は、前条に規定する支援チームの効率的な推進を図るため、認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置する。

2 検討委員会は、支援チームの次に掲げる事項について調査検証する。

(1) 支援チームの設置及び活動状況に関すること。

(2) 医療機関、関係機関等との連携に関すること。

(3) その他支援チームの活動に関し必要な事項

3 検討委員会の委員は、嘉島町地域包括支援センター運営協議会設置要綱(平成18年嘉島町要綱第5号)に規定する委員を充てることができるものとする。

(認知症地域支援・ケア向上事業)

第11条 町長は、医療機関や介護サービス事業者及び地域の支援機関の間の連携を図るための支援や認知症である者及びその家族を支援する相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置し、当該推進員を中心として、医療・介護等の連携強化等による、地域における支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする認知症地域支援・ケア向上事業を行う。

(推進員の配置)

第12条 推進員は、嘉島町地域包括支援センターに配置することとし、次の各号のいずれかの要件を満たす者を1名以上配置するものとする。

(1) 認知症に係る医療及び介護に関する専門的知識及び経験を有する医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士、介護支援専門員

(2) 前号に掲げる者のほか、認知症に係る医療及び介護に関する専門的知識及び経験を有する者として町長が認めた者

2 町長は、必要に応じて熊本県と連携しながら、研修会や関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて、推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。

(推進員の業務内容)

第13条 推進員は、次の各号に掲げる事項について実施する。

(1) 認知症である者に対し、状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、地域包括支援センター、医療機関、介護サービス事業者、認知症サポーター等地域において認知症である者を支援する関係者の連携を図るための取組

(2) 推進員を中心に地域の実情に応じて、地域における認知症の人とその家族を支援する相談支援又は支援体制を構築するための取組

(3) 次に掲げる事業の実施に関する企画及び調整

 病院、介護保険施設等で認知症対応力向上を図るための支援事業

病院や介護保険施設等の職員の認知症への理解を深め、対応力を高めるために、認知症サポート医等が処遇困難事例に対して事例検討を行い、個別支援を実施する。

 地域密着型サービス事業所、介護保険施設等での在宅生活継続のための相談・支援事業

認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、認知症対応型共同生活介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、特別養護老人ホーム等が、相談員を配置し、当該事業所等が有する知識、経験及び人材を活用し、在宅で生活する認知症である者及びその家族に対して効果的な介護方法等の専門的な相談支援等を行う。

 認知症の人の家族に対する支援事業

町長又は町長が適当と認める者が、認知症カフェ等を開設することにより、認知症の人とその家族、地域住民及び専門職が集い、認知症の人を支えるつながりを支援し、認知症の人の家族の介護負担の軽減等を図る。

 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業

医療も介護も生活支援の一部であることを十分に意識し、医療や介護等が相互の役割及び機能を理解しながら、統合的なケアにつなげていくため、認知症ケアにおける多職種協働の重要性を修得する認知症多職種協働研修を実施する。

(認知症サポート医等による助言、指導)

第14条 町長は、前条に規定する事業内容を円滑かつ効果的に実施するため、認知症サポート医等により、認知症に関する医療的見地からの助言、指導を必要に応じ受けるものとする。

(守秘義務)

第15条 事業に従事する者は、事業に関し知り得た個人に関する情報その他の秘密事項を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(委任)

第16条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。

この要綱は、平成30年3月1日から施行する。

嘉島町認知症総合支援事業実施要綱

平成30年2月22日 要綱第1号

(平成30年3月1日施行)